11月23日:南後由和先生レクチャー1日目

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11月23日は南後由和先生によるレクチャー1日目。

「都市・建築における無名性の価値、有名性の価値」
と題されたレクチャー第1回目のタイトルは
「都市空間をめぐるシチュアシオニストの実践
/建築論としてのアンリ・ルフェーブル」
でした。


突然ですが11月は紅葉の時期。
京都では一年のうちで最も観光客の数が増え、最もホテルが取りづらい時期に当たります(南後先生すみませんでした:詳細略)。

なぜ京都に観光客があふれるかというと、京都では彼らにとっての「目的地」に事欠くことがないからです。観光客の小旅行を陰で大きく支える観光MAPといったメディアに示される清水寺や金閣寺、あるいは紅葉スポットは彼らにとって特別な場所、いわばそれ以外を背景(「地ground」)としながら浮かび上がる「図figure」となります。他方で「建築MAP」を持つ建築愛好家にとっては同じ京都でも異なった図/地を見ているといえるでしょうし、その実際的な使用を考えてみると、彼らの愛すモダンなオフィスビルもスケーターらにとっては格好の遊び場所となったりします。いわば人は「地図」というメディアにはすくい切れないそれぞれの図/地を都市に対して持っており、都市の実際的な使用法もそれぞれの人によって異なるといえるでしょう。ここには正当も逸脱もありません。

このように、中立的で透明な表象とされがちな既存の「地図」を「現実の」体験によって覆していこうという試み、いわば「生きられる空間」を「観念的な空間」から救い出していこうという試みを実践した人々、今回のレクチャーは彼らの紹介からはじまりました。彼らとはギー・ドゥボールらによって1957年に結成されたシチュアシオニスト・インターナショナル(SI)のこと。前衛芸術家集団です。が、大抵SIといえば芸術活動からはみ出た部分、つまりマルクス主義的社会改革を旨とする政治運動としての側面に焦点があたりがち(実際こちらでの研究のほうが多い)ですが、南後先生はむしろ社会への批判的介入による文化革命を旨とする「CoBrA」やコンスタン・ニーウェンホイスらの側面に焦点を当てます。


以下レクチャーの概要へ
このようなSIにおける二流派の紹介からはじまったちょっとマニアックなお話は、結成から約30年後に始まる彼らの「発見」がなぜ起きたのかに関する考察へと続きます。80年代90年代の社会的状況を背景とした「発見」の契機として、たとえば彼らによる「都市の既存のあり方を事後的に裏切っていくような使い方」等を確認し、結成当時の社会的状況を踏まえながら彼らのプロジェクトに内在する批判的な社会実践を具体的に見ていきました。冒頭でも触れたように、自律した計画主体(都市計画家などなど)によって「思考される」「空間の表象」に対して、直接「生きられる」使用者の空間「表象の空間」を重視するということ。彼らの実践に色濃く反映されたアンリ・ルフェーブル(彼らの師匠でもあります)の思想を引きながら、ここから建築論におけるルフェーブルの受容がどのようなものであったのか、日本ではどうか、を見ていきます。

実践から理論へ

ルフェーブルの主要著作『空間の生産』に代表される彼の「空間」論は、上に挙げた二項が示す「観念的」空間と「現実の」空間との距離を問題視することにその特徴があります。いわば「空間」を所与のものとするのではなく、そこに内在する様々な戦略、利害関係、権力作用を批判的に読み解いていき、その重層的な「生産」をとらえ直すことで「自律した計画主体者」を批判するわけです。彼の言説が建築家批判として読まれる理由はここにあるといえるでしょう。しかし同時に疑問視されるべきは、そもそも建築家とはルフェーブルが考えるほど「自律した計画主体」であるのだろうかということ。「ロマン主義的な建築家像」を前提とする彼の視座からは見えなくなってしまった「建築家を取りまく諸制度やその社会的存立様態」(レジュメより)へと着目することで、建築界における個々の建築家の布置や特異性の析出が可能になるのではないか、というのが今回のお話でした。
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強引に一文でまとめるならば、SIが実践で、そしてルフェーブルが理論で批判した「生きられる」対象の照射圏域を都市から建築界へと拡張していく試みであると言えるでしょうか。南後先生の現在の研究テーマであるのみならず、わたしたち自身もしばしばブラックボックスとしてよく知らないまま過ごしてしまいがちな建築のメカニズムへとつながっていく興味深いお話でした。


いや、それは違うぞ、実際はこういう話だったんだ、というつっこみ、とりわけ受講者の方々からのつっこみをお待ちしております。レクチャーでも懇親会(さらさ麩屋町Pausaさんにて。いつもお世話になってます)でもひとつの机をがっちり囲んでの話し合いとなり、個別の質問も多い回となったのではないでしょうか。ということで、書き手(RAD/S)がクリアになっていないところを補完していただけると幸いです。


さてさて、次回11月24日は第2回目、タイトルは
「コンスタントのニューバビロンの射程」
です(でした)。ルフェーブルの影響下にあるCoBrA旗揚げに立会い、SIとして芸術的かつ建築的な実践を行ったコンスタン・ニーヴェンホイスと、彼を取り巻く人々のお話です。

(レクチャー自体は終わったのでレポを)お楽しみに!

南後先生レクチャーの3回目は12月14日16:00から、
そして次回のQuery Cruiseは12月12日20:00から
五十嵐先生レクチャー3回目です。


RAD/S

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