11月24日:南後由和先生レクチャー2日目

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今週末はレクチャーがありません。
よろしければ先週末のレポートにお付き合いくださいませ。

ということで今回は11月24日にさかのぼります。
南後先生レクチャー
「都市・建築における無名性の価値、有名性の価値」
第2回目「コンスタントのニューバビロンの射程」
のレポートをお送りしたいと思います。


前回今回のお話はシチュアシオニスト・インターナショナル(SI)の思想を詳しく見ていこうというもの。前回のレクチャーでは、事後的な都市の使用によって「都市計画」を批判するSIの実践、そしてその影響元であるアンリ・ルフェーブルの理論を細かに見ていきました(こちらもご参照ください)。

今回はそれらを引き受けながら、それでもなお未来都市を描いた男の話です。


ではレクチャーの概要へ 
今回のお話の主人公はコンスタン・ニーヴェンホイス。1920年オランダに生まれました。「CoBrA」旗揚げに立会いSIへと加入する彼の略歴をつぶさに見ていくとダラダラ長くなってしまいますので、代わりに一文彼のモットーをここに紹介いたします。

「生の直接表現」

芸術家のコンスタンにとって制度化されたシュルレアリズム、抽象表現主義をいかにして乗り越えるのかが解かれるべき問題として存在していました。表現の面でも同時代のデ・ステイルが直線的構成を用いたのとは対照的に、落書きのような曲線を多く使用しています。なお彼が扱ったメディアは以下のように変遷していきました。

絵画→彫刻→建築(空間の構成)→絵画

建築家、画家、彫刻家といった区別を解体し、生活のあらゆる側面を包括する「統一的居住空間」の構築こそ彼の目指した道であり、1956~1974に亘る彼の作品「ニューバビロン」もこの延長線上にあると言えるでしょう。「ニューバビロン」は1968年までの「前期」、それ以降からの「後期」に二分され、その分岐点は上の「建築→絵画」に当たります。今回のお話はこの変化をひとつの軸として進んでいきました。

さて、「ニューバビロン」とは住民のカスタマイズを受け入れる集住体とそれに付随する技術からなる「統一的都市計画」です。住人(「ニューバビロニアン」)のモデルにはホイジンガ「ホモ・ルーデンス」(遊戯人間)が選択され、彼らの「遊び」によって自発的かつ永続的に環境が再創造されていきます。つまり使用者の創造やそこで生じる出来事によって「ニューバビロン」が形成されていくのです。「ニューバビロンは、都市計画のためのプロジェクトではない。物ごとや生活に対しての考え方、想像の仕方、見方を提供」したものである、とコンスタン自身が述べるとおり、その特徴に関してはその「不定形性、不確定性、過渡的性格、全体像の否定」を強調すべきでしょう。ミクロスケールでは迷宮のドローイングが、そしてマクロスケールでは常に全体像がフレームアウトするような写真が前期の表現手段として使用され、展覧会ごとに模型、ドローイングをつくりかえていたことからもその一端がうかがえます。

「「ニューバビロン」は最期まで権力の現前性や全体化から逃れようとする、未知の、そこではないどこか=anywhereであった」(レジュメより)

前期「ニューバビロン」はまさに使用者(ホモ・ルーデンス=遊戯人間)の創造力をセレブレートするものでしたが、あらゆる形態や慣習から自由であり社会の権力関係とは無縁であるとするこの立場を特権視することによって、社会的文化的慣習的な制約の把握を困難なものにしてしまいました。いきおい後期「ニューバビロン」は前期の活動に対する批判とならざるを得ません。牧歌的になりすぎたユートピアの描写に社会的な批評性を取り戻すためのコンスタントの姿勢をこの転換に見るべきであり、単なる表現手法の変化(建築→絵画)のみを考えるべきではないでしょう。結局彼は作品「テラン・ヴァーグ」によって「ニューバビロン」を終幕し、制作活動をやめました。

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都市計画を批判しながらもコンスタンがその青写真を描き続けた「ニューバビロン」とは何であったのでしょうか。牧歌的にすぎるユートピアだと一蹴することも自由ですが、可塑的な建築・都市が集団的な創造によって発展していくプロセスを開いた「ニューバビロン」の意義は深いと思います。あらかじめ用意された理想的な処方箋ではない、可能的なるものへと開かれた「未来都市」を、コンスタンの取らなかったアプローチから補足し問い直していくことで、現代へつながるアクチュアリティを見出すことができるのではないでしょうか。


突然ですが、質問です。
Q1、あたかも無計画なタワーマンションやショッピングセンターが乱立する現状をどう思いますか。
Q2、安藤忠雄氏の打ちっぱなしコンクリートのように、建築の伝播の仕方を考えたときの「わかりやすさ」に対してどう思いますか。

これはレクチャー後の懇親会で南後さんが切り出されたクエスチョン(ここはクワイアリーQueryと言いたい)であります。なおレポートとの関連性はあるような、ないような、というところです。みなさんならどのようにお答えするでしょうか。


さて、南後先生レクチャーの3回目は12月14日16:00から、
そして次回のQuery Cruiseは
12月12日20:00から五十嵐先生レクチャー3回目です。


おたのしみに!


RAD/S

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