12月12日:五十嵐太郎先生レクチャー3回目

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12/12に行われた五十嵐太郎先生によるレクチャー3日目。
10月に刊行された『建築と音楽』(菅野祐子と共著)について、主に先生の修士論文でもある「ゴシックとノートルダム学派」を中心に語られました。

建築と音楽の繋がりを意識することは建築を勉強していると無い話ではなく、他の芸術分野にくらべるとむしろ多いのかもしれないが、では両者の繋がりが比喩的なレベルを超えてどのように繋がっているのかになると明確には意識できていなかったように思う。もちろん建築の対象として音楽ホールを設計するとなると、音響や演奏形式との関係を考えない訳にもいかないし、近年だとサウンドスケープというふうに環境の要素として音を捉える見方も定着しつつある。また、音楽で見いだされた音階という比例関係が、建築に比例を用いる際の根拠になってきたことは教科書にもみられる。

以下レクチャーの概要 
今回のレクチャーの中で、五十嵐さんが建築と音楽の繋がりについて語った時に、一番の主題になっていたのは上記の環境や比例を介した繋がりではなく、より形式のレベルでの話であった。五十嵐さんの修士論文『ゴシックとノートルダム学派』はタイトルをみれば分かる人もいると思うが、E・パノフスキー『ゴシックとスコラ哲学』のスコラ哲学をノートルダム学派に置き換え、建築と音楽のなかに同時代的に見られる時代精神を見いだすことが出来ないかということを問うたものである。建築と音楽は空間芸術、時間芸術という区別こそあれともに形式芸術として分類されるがゆえに、形式に着目することで同一平面上で論じることが可能になる。そして、音楽にみられる形式性が、建築の中にどのように展開されているのかを探ることによって新しい建築の解釈の可能性が試みが行われている。

ゆえに、比例や響きと言った音程に関してではなく、むしろ音楽の時間の構造が取り上げられることになる。
まず、ゴシックに入りそれまでのグレゴリオ聖歌に歌詞や旋律を付け加えるトロープスという方法がとりいれられる。その付加の仕方は様々なのだが、ある歌詞の中に別の歌詞を挿入するものと、別の歌詞旋律を同時に付け加えるなど時間軸、また垂直軸において開かれた構造を有することになる。と同時にこのことはゴシックの建築が長期にわたる建設期間において様々に変更、増改築を繰り返していることと、形式上一致する。ゴシックの建築も各部の変更が可能な開かれた構造を持つが故に、幾度の変容を受け入れることが出来ている。
もう一つの形式上の特徴は、時間の単位としてのリズムの発明があげられる。今でいう小節線に近い考えがこの時に生まれたらしい。それは音楽が2声や3声になることによって、時間のコントロール、ある種の均質かが必要だったからである。同様にゴシックの建築がベイシステムによる基本単位の反復によって形成される。
さらには、この基本単位は時代を経るごとに細分化(増殖)していく。建築ではトレーサリーやリブの複雑化。そして音楽でもモードリズムが体系的に細分化され技巧的になっていく。
つまり「増殖」という概念が、建築と音楽に共通するゴシックの時代精神として見いだされている。。。

以上がレクチャーの主な内容。他にノーテーションの問題や、バロック建築と音楽の関係(主にヴォイドにかんして)などが語られた。ちなみに本では今回のゴシックだけでなくルネサンス、バロック、そして現代に至るまでの建築と音楽に関する内容がおさめられています。基本的な建築史の知識があれば、+αの歴史書としても非常に勉強になります。おすすめです。

次回(最終回)は1/10日。「始まりのケンチク(後半)―00年代の建築」というテーマです。

rad/k

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